かばんの館の後背にそびえる有子山、出石の町からはどこからでも見えるこの山は、ふもとに出石城があり、その上には戦国時代の城、有子山城の城跡があります。
出石の町が築かれるきっかけになったのが、戦国大名山名氏が出石の北にあった此隅山城からここ有子山に本拠地を移したこと。ここから城下町が発展し、現在に続く出石の町になりました。
いわば出石の町のルーツとも言える有子山。かばんの館が出石に移転した2024年は、有子山築城450周年のメモリアルイヤーにあたり、出石でお店を営む者として、一度は有子山城に登ってみたいと思っておりました。
まずは下調べ
まずはパソコンで下調べ。Google先生に有子山について聞いてみる。
有子山城 きつい ・・・熊?
何やら不穏なワードが並んでいて、一抹の不安を憶える。
出石出身のかばんの館のパートさんの話では、出石で育った子どもは必ず一度は登ってる、ということなので、まぁ大丈夫ですよね・・・?
調べて分かったこととしては、
・登山にかかる時間はおおむね1時間。
・登山口は出石城の有子山稲荷神社の参道を登ったところにある。
・登山道に滑りやすいところがあるためトレッキングシューズがよい。
・暗くなる時間に登る場合はヘッドライトが必要。
・あと必要なものとして、熊よけの鈴、軍手(ロープで体を支える箇所がある)など。
とりあえず、一通りのものは揃えました。
コンディションの良さそうな日を選んで登りました
ゴールデンウィークの中日の5月3日、天気予報は快晴でしかも気温は低めの日。
暑くて大汗をかくのも繁忙期のこの後の仕事にも差し障るので、気温が低めで助かります。これ以上のコンディションは無いんじゃないかと思える絶好の登山日和でした。
意を決して、出石城の石段を登り始めます。
鳥居が連なる石段を登ります。
見事な青モミジでした。
新緑に太陽があたり、緑のステンドグラスのようにキラキラ光ります。
37基の鳥居が並ぶ157段の石段を登ります。
石段を登りきったところ。有子山稲荷神社の本殿の前です。
出石城にこられる観光客の方は、だいたいここまで来て折り返されます。
しかし今日はここで左に曲がり、ここから有子山の登山道に入ります。
熊の出没…。ご注意ください。
有子山の標高は321m。
登り始めるとすぐに有子山城跡の石碑がありました。
登山道をどんどん登っていきます。けっこう急な坂と階段が続きます。
途中、堀切の跡を超えていきます。山城らしい遺構がところどころに現れます。
急な登り坂が続き、日ごろ運動不足の体には結構こたえました…。
30分ほど登ると、中腹に休憩所があります。ようやくそこで一休み。
そこから先はなだらかな道になる、との案内看板が。これはありがたい!
鬱蒼と茂っていた木々がだんだんまばらになり、日が差し込んできました。
山頂が近づいてきたのかも。
木々の切れ目から出石の町が見えてきました。
いつの間にかこんなに登ってきたのか…!
石垣と山頂に上がっている鯉のぼりが見えてきました。
このときはゴールデンウィークということで、山頂には鯉のぼりが上げられていました。
普段は普通ののぼりです。(強風時には無いこともあります)
ようやく山頂に到着
そんなこんなで、ようやく山頂に到着しました。登り始めてから、途中の中腹での休憩も含めて約1時間。
ちょっとした達成感です。
こちらが山頂からの景色です。
有子山の標高は321m、あべのハルカス(300m)よりもちょっと高い。
黒い瓦屋根が並ぶ出石の町から、正面には豊岡市街を挟んで城崎の来日岳(くるひだけ)を望みます。
まさに但馬を一望の絶景!
城崎の向こうはすぐに日本海なわけですが、残念ながら海までは見えません。
海に近い場所ながら、周囲を山に囲まれた豊岡盆地の地形がよく分かります。
この地形がコリヤナギを育み、豊岡の柳行李づくりと鞄産業を生んだんですね。
(あと夏の暑さと冬の大雪も…この盆地地形の賜物)
1時間の登山のクライマックスにふさわしい、まさに山紫水明の絶景でした。
秋冬で条件がそろっている朝には雲海が見られることもあるそうです。
これはこれで、時期が来たらチャレンジしてみたいですね。
山頂の本丸があったところには東屋があり、ここでお弁当を食べたり、コーヒーを淹れたりと一服できます。
子どもの日を前に、東屋に取り付けられた鯉のぼりも気持ちよさそうに大空を泳いでいました。
※ちなみに、この日(5月3日)の10時ごろにはこのとおり4匹揃っていましたが、4日までに1匹風で飛んでしまったそうです。(ノД`)
山頂付近にかつての有子山城の主郭がありました。曲輪や侍屋敷があったとされる場所の遺構も残っており、戦国時代の「戦う城」であった往時が想起されます。
ただ、ここまで登ってくるのはなかなか大変。
江戸時代になり世の中が平和になって、山頂付近の城郭が放棄されて、ふもとに出石城が築かれたのも何となく頷けます。
主郭と大きな曲輪の跡である千畳敷を廻って、来た道を下ります。
途中滑りやすいところもあるので気を付けて。
下まで降りたところで、頂上での休憩時間も含めて約2時間半。
ちょっとタフなハイキング、という感じの行程でした。
有子山に登られる方へ
豊岡市と観光協会からの注意看板がありましたので、こちらをご参考になさってください。
歩き慣れている方には問題ない行程と思いますが、あまり気楽に考えると危険な箇所もあります。
お子様には少しキツいと思います。小学校高学年ぐらいからでしょうか。
事前によく計画をたてて、体力にあわせた安全な登山をお楽しみください。
登山口から山頂まで、お手洗い、売店、自動販売機などの施設は一切ありません。
お手洗いは城下町でお済ませのうえで、事前に飲み物などは調達されてから登ってください。
【基本情報】
かばんの館から | 登山口までは徒歩約10分 山頂までは約1時間(歩くスピードにより多少変動します) |
住所 | 〒668-0213 兵庫県豊岡市出石町伊木1 |
営業時間 | – |
定休日 | – |
TEL | – |
駐車場 | 特定の駐車場はありません。近隣の駐車場をご利用ください。 |
地図は登山道の入口に至る、有子山稲荷神社の参道の入口を示しています。
ここから石段を登ると、有子山の登山口があります。